家族滞在ビザは、外国人が日本で働いたり学んだりしている際に、その配偶者や子供を日本に呼び寄せ、一緒に生活するために必要な在留資格です。このビザにより、家族も日本で合法的に長期間滞在できるようになります。ただし、家族滞在ビザでは原則としてフルタイムでの就労は許可されていないため、特定の手続きが必要になります。以下では、家族滞在ビザの詳細、取得要件、手続き、そして注意点について詳しく解説します。
1. 家族滞在ビザの対象者と特徴
1.1 対象者
家族滞在ビザの対象者は、日本に滞在している外国人の配偶者および子供です。具体的には、次のような外国人の家族がこのビザを取得できます。
- 配偶者: 日本に合法的に滞在している外国人(就労ビザや留学ビザなどを持つ人)の法的な配偶者。
- 未成年の子供: 通常、18歳未満の未婚の子供が対象です。
1.2 ビザの特徴
- 主たる外国人の在留資格依存: 家族滞在ビザは、主たる外国人の在留資格に依存しています。つまり、配偶者や子供がこのビザを維持するためには、主たる外国人(例えば、技術者や留学生)が日本で合法的に滞在していることが必要です。
- 就労制限: 家族滞在ビザの保有者は、原則としてフルタイムでの就労が認められていません。ただし、資格外活動許可を取得することで、週28時間以内のパートタイム就労が可能です(後述します)。
2. 家族滞在ビザの取得要件
家族滞在ビザを取得するためには、以下のような要件を満たす必要があります。
2.1 主たる外国人の在留資格
家族滞在ビザは、主たる外国人が有効な在留資格を持っている場合に発行されます。主たる外国人が次のようなビザを持っている場合、その配偶者や子供は家族滞在ビザを申請できます。
- 就労ビザ: 例えば、「技術・人文知識・国際業務ビザ」、「技能ビザ」、「企業内転勤ビザ」など。
- 留学ビザ: 日本の大学や専門学校に通う外国人留学生も、家族を日本に呼び寄せることができます。
- 研究者ビザや教授ビザ: 研究機関や大学で働く外国人も対象となります。
逆に、短期滞在ビザや観光ビザを持つ外国人は、家族滞在ビザを申請できません。これらのビザは短期間の滞在を前提としており、長期滞在を目的とした家族滞在ビザの発行対象外です。
2.2 経済的な安定
家族滞在ビザを取得するには、安定した経済基盤が必要です。主たる外国人が家族全員を支える十分な収入があることが求められます。
- 安定した収入: 主たる外国人がフルタイムの職に就いており、配偶者と子供を含めた生活費を賄える収入があるかが審査されます。収入の証明には、給与明細、源泉徴収票、納税証明書などが必要です。
- 居住環境: 家族が一緒に住める適切な住居を確保していることも必要です。申請時には、賃貸契約書や住民票などで住居の証明が求められます。
2.3 家族関係の証明
配偶者や子供との関係を証明するために、以下のような書類が必要です。
- 結婚証明書(配偶者の場合)
- 出生証明書(子供の場合)
これらの書類は、外国で発行された場合、日本語訳を添付して提出する必要があります。翻訳文は正式なものでなければならず、公的機関で認められた翻訳者による翻訳が求められる場合もあります。
3. 家族滞在ビザの取得手続き
家族滞在ビザを取得するためには、いくつかの手続きが必要です。ここでは、その主要なステップについて説明します。
3.1 在留資格認定証明書の申請
家族滞在ビザを申請するには、まず「在留資格認定証明書」を取得する必要があります。これは、日本の出入国在留管理庁で申請を行います。この手続きは、主たる外国人が日本国内で行うことが一般的です。
- 在留資格認定証明書交付申請書(出入国在留管理庁の公式フォーマット)
- パスポートのコピー
- 証明写真(申請人のもの)
- 主たる外国人の在留カード(日本に滞在している外国人の身分証明書)
- 主たる外国人の収入証明書(例えば、給与明細、源泉徴収票、納税証明書など)
- 住居証明書(賃貸契約書や住民票など)
- 結婚証明書や出生証明書(家族関係を証明する書類)
この手続きを通じて、家族が日本で滞在するための資格が認定されます。審査には通常数週間から数ヶ月かかります。
3.2 ビザの申請
在留資格認定証明書が発行されたら、外国に住んでいる家族が最寄りの日本大使館または領事館で家族滞在ビザを申請します。ビザ申請時には、次の書類が必要です。
- パスポート
- 在留資格認定証明書
- 証明写真
- その他、大使館または領事館が要求する書類
ビザが発行されれば、日本に入国して家族としての滞在が可能になります。
3.3 日本への入国と在留カードの取得
ビザが発行され、日本に入国すると、空港で在留カードが発行されます。在留カードは、日本での滞在中の身分証明書として機能し、住所変更や就労など、重要な情報が記録されます。
4. 家族滞在ビザの有効期間と更新について
家族滞在ビザの有効期間は、通常1年、3年、または5年です。
この期間は、主たる外国人の在留資格の有効期間に依存することが多く、主たる外国人のビザが更新されれば、家族滞在ビザも更新されます。
4.1 ビザの更新手続き
ビザの有効期間が切れる前に、更新手続きを行う必要があります。更新手続きでは、引き続き家族関係が維持され、主たる外国人が日本で適切な在留資格を持っていることが確認されます。
- パスポートと在留カード
- 収入証明書
- 住民票や住居証明書
- 婚姻関係の継続を証明する書類(配偶者の場合)
通常、主たる外国人のビザが問題なく更新されれば、家族滞在ビザの更新も同様に行われます。
4.2 日本での永住申請
長期間日本に滞在し、家族として安定した生活を送っている場合、永住権の申請も将来的に可能です。特に、主たる外国人が永住権を取得した場合、その配偶者や子供も永住権を申請しやすくなります。また、日本人と結婚している配偶者であれば、3年以上日本に滞在していれば永住権の申請資格が得られます。
5. 家族滞在ビザの就労制限と資格外活動許可
家族滞在ビザの保持者は、原則としてフルタイムの就労が認められていません。ただし、「資格外活動許可」を取得することで、週28時間以内の範囲でパートタイム就労が許可されます。
5.1 資格外活動許可の取得
家族滞在ビザを持つ外国人が就労を希望する場合、まず「資格外活動許可」を出入国在留管理庁に申請します。この許可が下りると、28時間以内の範囲で働くことができます。
- 資格外活動許可申請書
- 在留カード
- 雇用契約書(雇用先の企業や団体から発行)
資格外活動許可を取得すれば、アルバイトやパートタイムの仕事をしながら、日本で生活することができます。
6. 家族滞在ビザの注意点
家族滞在ビザを取得する際や滞在中には、いくつかの重要な点に注意する必要があります。
6.1 主たる外国人のビザに依存
家族滞在ビザは、主たる外国人の在留資格に依存しています。主たる外国人がビザを失効したり、日本を離れたりした場合、家族滞在ビザも無効になる可能性があります。主たる外国人が転職したり、在留資格を変更する場合は、家族滞在ビザの影響を考慮する必要があります。
6.2 日本国外での長期滞在
家族滞在ビザを持つ外国人が長期間(通常1年以上)日本国外に滞在する場合、ビザの更新や再入国の手続きが必要です。日本国外に長期間滞在する予定がある場合は、事前に再入国許可を取得することをお勧めします。
まとめ
家族滞在ビザは、日本に住む外国人がその配偶者や子供と一緒に日本で生活するために必要な在留資格です。ビザ取得には、安定した収入や住居の確保、家族関係の証明が必要であり、主たる外国人のビザに依存しています。資格外活動許可を取得すれば、家族滞在ビザ保持者も週28時間以内で働くことができ、日本での生活を支えることが可能です。ビザの更新や長期滞在についても、慎重な計画が求められます。
このように、家族滞在ビザにはいくつかの重要な側面があり、特に主たる外国人の状況や、ビザ保持者自身の就労に関する手続きについて理解しておくことが大切です。日本での生活をスムーズに進めるために、これらの情報を参考にしていただければと思います。