発電所を取得・集約する事業者様へ

「長期安定適格太陽光発電事業者」の
適格認定と、認定後の特例

2025年4月から、太陽光発電事業を長期的・安定的に担う事業者を経済産業大臣が認定する「長期安定適格太陽光発電事業者」の制度が始まりました。
適格認定を受けると、発電所を取得するときの変更認定に伴う説明会について特例が認められるなど、発電所の集約を進めやすくなります。

  • Point 1対象は、子会社などと合わせて、対象となる太陽光発電事業の運転実績が合計50,000kW以上あり、上場企業または自治体の出資を受けている事業者などです。
  • Point 2認定を受けると、影響の大きいエリアの外にある太陽光発電所を取得するときなどに、説明会に代えて事前周知措置(ポスティング等)を選べます。
  • Point 3認定後も、毎年度の報告と自社ホームページでの公表が求められます。

最終確認日:2026年10月4日
根拠:資源エネルギー庁「説明会及び事前周知措置実施ガイドライン」(2026年4月改訂)第2章・第4章・第6章、再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法施行規則第4条の2の3・第4条の2の4、資源エネルギー庁「長期安定適格太陽光発電事業者について」(2024年11月28日 審議会資料)

1. 制度の概要

FIT制度の開始以降、太陽光発電は小規模な事業者が多数参入し、各地に分散して運営されてきました。国は、こうした発電所を集約し、FIT/FIPの期間が終わった後も長期にわたって安定的に運営できる、責任ある事業者を育てることを目指しています。

そのための仕組みが「長期安定適格太陽光発電事業者」の適格認定です(施行規則第4条の2の4)。認定を受けた事業者には、発電所の集約や、集約した発電所の効率的な運営を後押しする特例が用意されています。

企業グループの場合は、グループの親会社などが認定を受け、その子会社(発電所を保有するSPCなど)も含めて要件を判定する仕組みです。

対象となる事業者は限られます

運転実績50,000kW以上などの厳しい要件があるため、主な対象は、太陽光発電所を全国または広域で保有・運営する大手の事業者です。国の審議会資料でも、将来的に数十の事業者を認定することが想定されています。

2. 適格認定の要件

次の要件をすべて満たす必要があります(ガイドライン第6章)。

  • 表中の「子会社など」は、法令上の「申請者を密接関係者とする者」、つまり申請者が議決権の過半数を持つ会社や、申請者が社員となっている合同会社などを指します。
  • 「再エネ発電事業」「太陽光発電事業」には、FIT/FIPを利用しない事業や、自家消費の事業も含まれます。
要件 主な内容
① 関係法令の遵守 申請者と子会社などが、再エネ発電事業を営むにあたって関係法令を守っていること。
② 能力・経験 申請者と子会社などが、運転を開始している太陽光発電事業について、合計50,000kW以上の実績を持っていること。
実績として数えられるのは、次のいずれかの事業です。
・FIT/FIPの認定を受けていない事業
・新規認定の日が2017年度以降の事業
※2016年度以前に新規認定を受けたFIT案件は、実績に数えられません。
② 管理に係る体制 申請者が上場している株式会社、または地方公共団体の出資を受けている者であること。
あわせて、地域との共生と保安の確保に関する取組方針を自社ホームページに掲載し、毎年度、活動状況などを経済産業大臣に報告すること。
※上場会社が議決権のすべてを持つ子会社が申請する場合は、その上場会社が要件①と④を満たし、かつ上場会社が議決権を持つ会社の中に、ほかに適格認定を受けている者や申請している者がいなければ、上場会社と同じ扱いになります。
③ 長期的・安定的な事業の目標 中期経営計画などで、一定規模以上の太陽光発電事業を集約し、長期間継続することを約束していること。
集約する容量(低圧・高圧・特別高圧の規模別。少なくとも低圧についての約束は必須)と、事業を継続する期間について、数値目標を定めていること。
毎年度、目標と進捗を評価し、その結果を自社ホームページに掲載すること。
④ 欠格事由に当たらないこと 申請者と子会社などが、次のいずれにも当たらないこと。
・改善命令を受けたのに、違反を改善する措置をとっていない
・FIT/FIPの認定を取り消され、取消しから2年を経過していない
・積立命令(交付金の一時停止措置)を現に受けている

3. 認定を受けると何が変わるか(特例)

① 変更認定時の説明会の特例(ガイドラインで確定)

太陽光発電所の認定事業者が、事業計画の重要な事項を変更して変更認定を受けるとき(発電所の取得による事業者や密接関係者の変更など)、本来は高圧・特別高圧の発電所などで説明会の開催が必要です。
このとき、認定事業者またはその密接関係者(親会社など)が適格認定を受けていれば、説明会の開催に代えて、事前周知措置(ポスティング等)を選ぶことができます(施行規則第4条の2の3第1項第1号ロ)。

取得する太陽光発電所 通常の事業者 適格認定を受けた事業者
影響の大きいエリア内
林地開発許可・盛土規制法・砂防三法等の許可の対象エリア、土砂災害警戒区域・土石流危険渓流、条例で定める自然環境・景観の保護エリア
説明会 説明会
特例の対象外
エリア外の高圧・特別高圧(50kW以上) 説明会 説明会 または 事前周知措置
エリア外の低圧で、敷地境界から100m以内の同一事業者等の発電所と合わせて50kW以上 説明会 説明会 または 事前周知措置
エリア外の低圧(上記以外) 説明会 または 事前周知措置 説明会 または 事前周知措置
もともと事前周知措置を選べるため、違いはありません

特例を使うときの注意点

  • 太陽光発電設備だけが対象です。風力やバイオマスなど、ほかの電源には適用されません。
  • 変更認定の場面だけが対象です。新しく発電所を開発して新規認定を受ける場合には使えません。
  • グループ会社でも使えます。発電所を保有するSPC自身が認定を受けていなくても、その密接関係者(SPCの議決権の過半数を持つ親会社など)が適格認定を受けていれば対象になります。
  • 変更後に適格でなくなる場合は使えません。適格認定を受けた事業者(またはそのグループのSPC)が発電所を売却し、変更後の認定事業者や密接関係者が適格認定を受けていない会社になる場合は、通常どおり説明会が必要です。
  • 周知の対象範囲が変わります。事前周知措置を選んだ場合、周知の対象は敷地境界から100m以内の居住者です(説明会の場合は、高圧・特別高圧で300m以内の居住者と、隣接する土地・建物の所有者などが対象)。

② パネル増設時などの廃棄等費用の積立時期の特例

太陽光パネルの増設などを行う場合の廃棄等費用の積立時期について、適格事業者には特例的な取扱いが認められるとされています。適用の条件や具体的な取扱いは、案件ごとに資源エネルギー庁の最新の資料で確認したうえでご案内します。

③ 国の審議会で示されているその他の施策

資源エネルギー庁の審議会資料(2024年11月)では、上記のほかに、適格事業者に向けた次の施策の方向性が示されています。

  • 電気主任技術者に係る統括制度の利用拡大
  • 事業売却を希望する事業者の情報の先行公開(情報提供を希望する自治体も対象とされています)

※これらは審議会で示された施策の方向性であり、具体的な運用の内容や開始時期は、本ページでは確認できていません。また、制度の要件や施策は、活用状況に応じて見直しが検討されています。ご利用にあたっては、最新の運用状況を確認したうえでご案内します。

4. 認定後の義務と注意点

  • 毎年度の報告:長期安定適格太陽光発電事業者としての活動状況などを、毎年度、経済産業大臣に報告します。
  • 目標の評価と公表:集約する容量や事業継続の目標とその進捗について、毎年度評価し、結果を自社ホームページに掲載します。
  • 取組方針の公表:地域との共生と保安の確保に関する取組方針を、自社ホームページに掲載し続けます。取組方針には、その対象となる子会社などの一覧も含めます。
  • 認定の取消し:適格認定を受けた事業者や、その子会社などが、再エネ発電事業を営むにあたって関係法令に違反した場合は、適格認定の取消しの対象になります。

特例を使っても、手続きの「中身」は軽くなりません

事前周知措置を選んだ場合でも、次の点は説明会の場合と同じです。

  • 変更認定申請の3か月前までに実施すること
  • ガイドラインが定める説明項目をすべて周知すること(過去に法定の説明会等を行っていない発電所では、全項目が対象)
  • 周知後2週間以上質問を受け付け、書面で回答すること
  • 再エネ特措法に基づく周知であることを明示すること

周知の内容に不備があれば、やり直しを求められることもあります。

5. 発電所を売るオーナー様にとっての意味

買い手が適格認定を受けた事業者(またはそのグループのSPC)であれば、影響の大きいエリアの外にある発電所では、説明会ではなく事前周知措置で手続きを進められる場合があります。説明会の会場の手配や、旧事業者として説明会に出席する負担がなくなる可能性があります。
なお、事業者の変更に伴う事前周知措置は、売り手(旧事業者)と買い手(新事業者)の双方の名義で行います。売り手の協力が不要になるわけではありません。

また、3か月ルールや周知する内容は変わらないため、スケジュールそのものが大きく短くなるわけではありません。売却の手続き全体の流れは、発電所の売買・M&Aと住民説明会(変更認定の実務ガイド)をご覧ください。

6. よくある質問

発電所を保有するSPC(合同会社)自体は認定を受けていません。親会社の認定で特例を使えますか?

使える場合があります。ガイドラインでは、認定事業者(SPC)だけでなく、その密接関係者(SPCの議決権の過半数を持つ株主、合同会社の社員、それらの親会社など)が適格認定を受けている場合も、特例の対象としています。グループの資本関係によって判断が変わるため、個別に確認します。

運転実績が50,000kWに届かない中小の事業者は、認定を受けられませんか?

現在の要件では、運転を開始している太陽光発電事業(FIT/FIPを利用しない事業、または2017年度以降に新規認定を受けた事業)について、子会社などと合わせて50,000kW以上の実績が必要です。2016年度以前に新規認定を受けたFIT案件は、実績に数えられません。また、上場企業であるか、自治体の出資を受けていることも必要です。
なお、国は制度の活用状況を踏まえて要件の見直しを検討するとしています。

事前周知措置でよいなら、3か月待たずに変更認定を申請できますか?

いいえ。事前周知措置も、変更認定申請の3か月前までに実施する必要があります。特例で変わるのは「説明会を開くか、事前周知で足りるか」という周知の方法であり、スケジュールのルールは通常と同じです。

土砂災害警戒区域にある発電所を取得する場合も、事前周知措置で足りますか?

足りません。土砂災害警戒区域・土石流危険渓流、林地開発許可などの対象エリア、条例で定められた自然環境・景観の保護エリアにある発電所は、適格事業者であっても説明会の開催が必要です。

適格事業者のグループが保有する発電所を、別の会社に売却する場合も特例を使えますか?

買い手(変更後の認定事業者やその密接関係者)が適格認定を受けていない場合は、使えません。この場合は、エリアと出力に応じて通常どおり説明会などが必要です。

7. 当事務所のサポート

行政書士が、適格認定の申請から、認定後の発電所の取得手続きまでをサポートします。

  • 適格認定の要件の確認(実績の集計方法、子会社などの範囲、欠格事由の確認)
  • 適格認定の申請書類の作成
  • 自社ホームページに掲載する取組方針の文案作成の支援
  • 取得する発電所ごとの、説明会・事前周知措置の要否の判定(エリアの確認を含む)
  • 事前周知措置の実施準備(周知文書の作成、配布範囲の確認、質問への書面回答の作成支援)と変更認定申請

※当事務所は、適格認定の申請や変更認定の手続きを支援する行政書士事務所です。当事務所自身が長期安定適格太陽光発電事業者の認定を受けているものではありません。また、中期経営計画の目標など、経営上の判断は申請者様ご自身で行っていただく必要があります。

対応エリア:事前周知措置・説明会を伴う発電所の取得手続きは、東北6県(青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島)と新潟県です。
報酬:案件の内容・件数に応じて個別にお見積りします。

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本ページは、2026年10月4日時点の法令・ガイドライン・公表資料に基づく一般的な情報です。適格認定の要件や特例は、制度の活用状況に応じて見直される可能性があります。認定の可否は経済産業大臣の判断によるため、結果をお約束するものではありません。個別の案件については、ご相談いただいたうえで判断します。

参考資料:資源エネルギー庁「説明会及び事前周知措置実施ガイドライン」(2026年4月改訂) / 資源エネルギー庁「長期安定適格太陽光発電事業者について」(2024年11月28日)