FIT終了前に「売却」を決める前に
「FIT期間の残りが短いから」と、
売却を急いでいませんか?
FIT期間の残りが短いからと売却を急ぐと、卒FIT後も続く発電所の価値を十分に評価しないまま手放すことになりかねません。再生可能エネルギーの電気を求める企業が増えるなか、FIT期間を終えた発電所にも、使い道と価値が残ります。
売却を決める前に、継続運用、相対契約やPPA、自己託送(要件を満たす場合)などの選択肢を比較することをおすすめします。売却が最善となるケースもあります。大切なのは、比べたうえで選ぶことです。
※本ページは、資源エネルギー庁「自己託送に係る指針」(2024年2月改正)、「自己託送に関するQ&A」、「説明会及び事前周知措置実施ガイドライン」(2026年4月改訂)等に基づいて作成しています。個別の案件の可否は、関係機関への確認が必要です。
FIT期間が終わっても、発電所の価値はなくならない
出力10kW以上の太陽光発電のFIT期間(調達期間)は20年です。期間が終わると固定価格での買取は終わりますが、発電設備そのものは、適切に保守すれば発電を続けられます。
- 脱炭素に取り組む企業を中心に、再生可能エネルギーの電気や、その環境価値を求める需要がある
- 卒FIT後は、売電先や契約の形を自ら選べるようになる
- 土地の権利や設備の状態を整えておけば、卒FIT後も事業として続けられる
一方で、「残りの期間の売電収入」だけで価格を考えると、卒FIT後の価値が評価に含まれないまま取引されることがあります。
主な選択肢の比較
| 選択肢 | 内容 | 主なメリット | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| 売却 | 事業譲渡、または発電所を持つ会社ごと(持分・株式)譲渡する | 早期に資金化できる。管理の手間がなくなる | 価格がFIT期間の残りに左右されやすい。変更認定申請と説明会等が必要になるのが原則 |
| 継続運用 | 卒FIT後も保有し、小売電気事業者などへ売電する | 資産を保持したまま、収入を得続けられる | 売電単価はFIT時より下がるのが一般的。保守・修繕の費用がかかる |
| 相対契約・PPA | 卒FIT後、再エネ電気を求める企業に、小売電気事業者などを通じて長期で届ける | 企業の再エネ需要を取り込める。長期の契約で収入の見通しを立てやすい | 契約の相手方・条件の交渉が必要。小売電気事業者を経由する場合は、需要家側に再エネ賦課金がかかる |
| FIPへの移行 | 一定の条件を満たす設備は、FIT期間中にFIP制度へ移行できる場合がある | 市場での売電や、相対契約と組み合わせやすい | 移行できる設備の条件、市場価格の変動、需給管理の負担を確認する必要がある |
| 自己託送 | 卒FIT後、発電所を設置した者が、送配電網を通じて自社や密接な関係にある会社の事業所へ電気を送る | 小売電気事業者を経由しないため、再エネ賦課金がかからない | 要件が厳しい(下記の注意点を参照)。一般送配電事業者との契約、需給の管理が必要 |
※FIT期間中の電気は、特定契約により買い取られるため、相対契約・PPAや自己託送は、原則として卒FIT後の選択肢となります。
※FIPへの移行の可否や条件は、設備の区分や時期によって異なります。
自己託送を検討する場合の注意点
自己託送は、2024年2月に「自己託送に係る指針」が改正され、要件が厳しくなりました。主な要件は次のとおりです。
- 発電設備を自ら設置し、維持・運用する者であること(他の者が設置した設備の譲渡や貸与を受けた者は、自己託送利用者に該当しません。リースやエネルギーサービス契約による設備も認められません)
- 電気を送る先が、自社か、密接な関係にある者(親会社と子会社の関係、過半数の役員の派遣がなされている関係など)であること
- 組合を設立して行う自己託送(組合型)は、そのために新たに設置する発電設備に限られること(既に稼働している設備や、FIT制度の買取期間が満了した設備は対象外です)
そのため、既存の発電所で自己託送を行えるのは、発電所を最初に設置した法人が引き続き運用し、自社や密接な関係にある会社へ電気を送る場合などに限られます。発電所を別の法人に移してから自己託送を行う方法は、「他の者が設置した設備の譲渡を受けた者」にあたるおそれがあります。
※2023年12月31日以前に接続検討の申込みが完了している場合は、改正前の指針が適用されます。
※設置後に需要家との資本関係を結んだ場合などの扱いは、個別に確認が必要です。
こんな勧誘にご注意ください
- 「組合をつくれば、今の発電所の電気を再エネ賦課金なしで企業に売れる」
- 「発電所を新会社に移せば、自己託送ができるようになる」
- 「FIT期間が残り少ない発電所は、今売らないと価値がなくなる」
いずれも、上記の要件や個別の事情によっては当てはまりません。契約や譲渡の前に、根拠となる制度や資料を必ずご確認ください。
売却を決める前に確認したいポイント
- FIT期間の残り:調達期間がいつ終わるか(認定通知書・電子申請システムで確認できます)
- 土地の権利:借地の場合、賃貸借契約の期間が卒FIT後まで続くか、延長できるか
- 設備の状態:パネル・パワーコンディショナーの劣化や故障、保守点検の記録
- 廃棄費用の積立:積立額と、実際の撤去費用の見込みとの差
- 卒FIT後の売電先:売電先の候補と条件、再エネ電気を求める企業とのつながり
- 設置の経緯:自社で設置したか、完成した発電所を購入したか(自己託送の可否に関わります)
- 売却する場合の手続き:変更認定申請と説明会等の要否、スケジュール
当事務所がお手伝いできること
認定内容と権利関係の整理
認定情報、FIT期間の残り、土地の権利、設置の経緯など、判断の前提となる情報を整理します。
選択肢ごとの手続きの確認
売却・継続運用・自己託送など、それぞれの選択肢で必要となる手続きと期間をご案内します。
変更認定申請・説明会等
売却や資本関係の変更(密接関係者の変更)に伴う変更認定申請と、説明会・事前周知措置の準備をサポートします。
専門家との連携
税務は税理士、登記は司法書士と連携します。売電契約・自己託送の契約は、電力会社・一般送配電事業者との確認をお手伝いします。
※売却価格の査定や、投資判断そのものを行うものではありません。最終的なご判断は、関係する専門家の意見も踏まえてお決めください。
売却を決める前に、まずは選択肢を整理しませんか。
卒FIT後の選択肢について相談する相談無料・秘密厳守/返信の目安:2〜3営業日以内
ご用意いただくもの:発電所の所在地・出力・設備ID・認定日(分かる範囲で)
売却をお決めの方は、法人売却・事業譲渡・FIT終了前のEXITのページもご覧ください。
よくある質問
FIT期間が終わると、発電所の価値はなくなりますか?
なくなるわけではありません。固定価格での買取は終わりますが、設備が発電できる限り、小売電気事業者などへの売電や、企業との相対契約・PPAなどで収入を得る道があります。ただし、売電単価はFIT時より下がるのが一般的です。土地の契約期間や設備の状態によっても、卒FIT後の価値は変わります。
今の発電所で自己託送をすれば、企業に賦課金のない電気を届けられますか?
要件を満たす場合に限られます。自己託送ができるのは、発電設備を自ら設置し、維持・運用する者が、自社や密接な関係にある者(親子会社など)に電気を送る場合です。完成した発電所を購入した場合や、設備の譲渡・貸与を受けた場合は、原則として対象外です。また、組合をつくって行う自己託送は、新たに設置する設備に限られ、既存の設備やFIT期間が終わった設備は対象外です。
FIT期間中に、電気を使いたい企業と資本提携することはできますか?
可能です。ただし、提携先が議決権の過半数を持つ株主(合同会社の場合は社員)になるなど、再エネ特措法上の「密接関係者」が変わる場合は、変更認定申請と、それに先立つ説明会等が必要です。また、資本提携をしただけで、卒FIT後に自己託送ができるとは限りません。自己託送の要件を満たすかどうかは、別に確認が必要です。
売却した方がよいのは、どんな場合ですか?
たとえば、土地の賃貸借契約が卒FIT後に続かない場合、設備の大規模な修繕が見込まれる場合、管理を続けることが難しい場合などは、売却が合理的な選択になることがあります。当事務所では、売却を否定するのではなく、比較したうえでご判断いただくためのお手伝いをしています。
