2026年10月更新(経済産業省「自己託送に係る指針」2024年2月12日改正、経済産業局の解説資料2025年11月にもとづく)

資本関係のない会社同士でも、組合をつくれば電気を送り合える「組合型の自己託送」。再エネ賦課金がかからない仕組みとして注目されてきましたが、2024年2月の指針改正で要件が厳しくなり、使える組合の形や発電設備がはっきり限定されました。

この記事では、経済産業省の指針と、経済産業局が2025年11月に公表した解説資料をもとに、現在の要件を整理します。

組合型の自己託送とは

自己託送は、自社が設置した発電設備の電気を、送配電網を通して別の場所にある自社の工場などに送る仕組みです。一般送配電事業者(東北電力エリアなら東北電力ネットワーク)が提供する送電サービスで、2013年に制度化されました。

2021年度の見直しで、資本関係のない者同士でも、組合を共同で設立し一定の要件を満たせば「密接な関係」があるとみなす規定ができました。これが組合型の自己託送です。

「組合託送」という言葉について

「組合託送」は通称で、正式な制度名ではありません。制度上は、自己託送の中の「組合を設立した場合」の類型です。

2024年2月の指針改正で厳しくなったこと

2024年2月12日の「自己託送に係る指針」の改正で、自己託送全体の要件が明確になりました。次の4つをすべて満たす必要があります。

  1. 電気事業用ではない設備であること非電気事業用の電気工作物であることが前提です。
  2. 自ら設置した設備であること他の人が設置した設備を譲渡や貸与で受けたものは使えません(完全子会社からの譲受けを除く)。
  3. 送る相手と「密接な関係」があること親子会社、役員の過半数の派遣、長期の取引による一体性、または共同で設立した組合の組合員であることが必要です。
  4. 最終的に電気を使う人に送ること送った先から、密接な関係のない別の人に電気を融通することは認められません。

この改正は、2024年2月12日から適用されています。2023年12月31日までに接続検討(低圧は接続契約)の申込みを済ませていた案件は、改正前の指針が適用されます。

組合型で使える組合・使えない組合

組合は「長期にわたり存続する」ことが求められます。そのため、組合の形によって使えるかどうかが分かれます。

組合の形組合型の自己託送理由・注意点
民法上の組合(任意組合)など法人格のない組合対象組合契約書で長く存続することを明らかにする必要があります
有限責任事業組合(LLP)対象同上
匿名組合対象外実態が共同事業体とは言いにくいため
中小企業等協同組合(事業協同組合など)対象外法律で自由に脱退できると定められており、長く存続するとは言い切れないため

組合契約書では、電気の料金(算出方法を含む)と、計量器や配線工事などの費用の負担を定める必要があります。供給する組合員がすぐに脱退して供給が止まらない仕組みになっているかも、個別に確認されます。

組合型で使える発電設備

組合型で使えるのは、組合員が、組合員の需要のために新たに設置する専用の設備に限られます。

組合型で使えない設備

  • すでに稼働している発電設備
  • FITの買取期間が満了した発電設備(卒FIT)
  • FIT認定を受けている設備
  • 系統の容量を確保して、新たに電気を流せるようになった既存の設備
  • 系統から受けた電気をためて放電する蓄電設備

卒FITの発電所を使って自己託送をしたい場合は、組合型ではなく、自社が自ら設置した発電所から、自社やグループ会社に送る形(同一者・密接関係型)を検討することになります。

1つの発電所から複数の組合員に送る場合

1つの発電設備から複数の需要者に電気を送る場合は、電気事業法にもとづく特定供給の許可が必要です。さらに、組合型で特定供給をする場合は、自ら維持・運用する電線路を通して電気を送る必要があるとされています。

送配電網を通して、1つの発電所から複数の組合員に広く電気を配る使い方は、制度上かなり限られます。計画の段階で確認が必要です。

かかる費用

自己託送で送った電気には再エネ賦課金がかかりません。一方で、次の費用がかかります。

  • 託送料金(送配電網の利用料)
  • 発電側課金(10kW以上の発電設備)
  • 計画どおりに発電・消費できなかった分の差額精算(インバランス)
  • 計量器や配線の工事費

電気代がどれだけ下がるかは、これらの費用を差し引いて比べることが大切です。

相談・確認の窓口

個別の案件は、まず一般送配電事業者に問い合わせます。判断が難しい場合は、次の窓口が確認します。

  • 供給する電力が1万kW以上、または供給区域をまたぐ場合:資源エネルギー庁
  • それ以外:供給区域を管轄する経済産業局(東北電力エリアは東北経済産業局)

自己託送の要件確認・書類作成はご相談ください

  • 自己託送が使えるかの整理(設備の設置者、密接な関係、組合の形)
  • 組合契約書、要件確認書類、宣誓書などの作成
  • 発電所の名義変更・権利関係の整理(名義変更で自己託送が使えなくなる場合もあるため、事前にご相談ください)

※LLPの設立登記は司法書士の業務です。必要に応じて専門家をご紹介します。

金惠英(ジン)行政書士事務所(行政書士 布川裕子)
宮城県仙台市春日町8-5-302
メール:sendai2926@gmail.com

参考

※本記事は一般的な説明です。個別の案件で自己託送が利用できるかは、一般送配電事業者と所管官庁の判断によります。

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