低圧の太陽光発電設備であっても、次の条件をすべて満たすと、事前周知措置ではなく説明会の開催が必要
- その事業の敷地境界線から水平距離100m以内に、同一の事業者等が実施する再エネ発電事業の実施場所があること
2024年4月の改正再エネ特措法の施行により、FIT/FIPの認定には、周辺地域の住民への「説明会」または「事前周知措置(ポスティング等)」が必要になりました。低圧(50kW未満)の太陽光発電は、原則としてポスティング等の事前周知措置で足ります。ただし、近くに同じ事業者の設備がある場合は、低圧でも説明会の開催が必要になることがあります。この記事では、その判定のルールと注意点を、最新のガイドラインに基づいて解説します。
結論:100m以内・合計50kW以上なら、低圧でも説明会が必要
低圧の太陽光発電設備であっても、次の条件をすべて満たすと、事前周知措置ではなく説明会の開催が必要になります。
- 説明会等の対象となる低圧の再エネ発電事業であること
- その事業の敷地境界線から水平距離100m以内に、同一の事業者等が実施する再エネ発電事業の実施場所があること
- それらの事業の出力の合計が50kW以上になること
ここでいう「同一の事業者等」には、同一の事業者だけでなく、その事業者の密接関係者(合同会社の社員、株式会社の議決権の過半数を持つ株主、これらの親会社など)も含まれます。
見落としやすいポイント
合算の対象には、認定申請中の事業も含まれ、認定取得や設備設置の時期は問いません。何年も前に設置した近くの発電所も、合算の対象になります。
そもそも説明会等が不要な設備
次の設備は、説明会・事前周知措置の義務の対象外です。これらは合算の対象にもなりません。
- 出力10kW未満の太陽光発電(住宅用太陽光発電)
- 建築物の屋根に設置する太陽光発電(屋根設置太陽光)
- 海洋再エネ整備法の適用事業
なお、屋根設置の太陽光発電でも、事業の影響と予防措置などについて、説明会等を行うよう努めることとされています。
具体例で確認
| ケース | 判定 |
|---|---|
| 同じ合同会社が、隣り合う2区画に49.5kWの地上設置を1つずつ所有(合計99kW) | 100m以内・合計50kW以上のため説明会が必要 |
| 同じ事業者の49.5kWの設備が、敷地境界から150m離れた場所に1つだけある | 100m以内ではないため合算されず、原則として事前周知措置でも可 |
| 隣の低圧設備の所有者が、資本関係のない別の事業者 | 同一の事業者等にあたらないため合算されない |
| 49.5kWの地上設置の隣に、同じ事業者の屋根設置太陽光がある | 屋根設置は説明会等の対象外のため合算されない |
※設置場所が、林地開発許可などの許認可の対象エリア、土砂災害警戒区域・土石流危険渓流、条例で定める自然環境・景観の保護エリアにあたる場合は、出力や合算に関係なく説明会が必要です。
※会社を分けていても、社員や親会社が共通している場合などは、「同一の事業者等」にあたるかどうかを個別に確認する必要があります。
名義変更・売却のときにも要注意
このルールは、新規認定のときだけのものではありません。事業譲渡や、株式・出資持分の譲渡による密接関係者の変更などで変更認定を受けるときも、説明会等が必要です。このとき、説明会と事前周知措置のどちらが必要かは、変更後の計画内容で判定します。
たとえば、近接する複数の低圧発電所を、1つの買い手がまとめて取得するケースを考えます。売却前は別々の事業者の設備でも、取得後は同一の事業者の設備となり、合計50kW以上として説明会が必要になる可能性があります。複数の案件をまとめて購入・売却する場合は、事前に位置関係と出力の合計を確認しておくことが重要です。
説明の対象となる住民の範囲は「100m」
合算によって説明会が必要になった場合でも、対象となる住民の範囲は、高圧設備の基準(300m)には広がりません。低圧設備の基準である敷地境界から100m以内の居住者が対象です。これに、次の人が加わります。
- 事業の実施場所に隣接する土地・建物の所有者
- 市町村への事前相談で、市町村が追加すべきとした人(例:下流域の居住者など)
近接する複数の事業について、まとめて説明会を開催することもできます。その場合も、各事業について説明の要件を満たす必要があります。
説明会の主な流れと期限
- 市町村への事前相談:説明の対象となる住民の範囲について、所定の様式で相談します(説明会の配布予定資料や地図を添付)。
- 開催案内:説明会の2週間前までに、ポスティング・戸別訪問・回覧板・自治体の広報誌のいずれかで住民に案内します。同じく2週間前までに、資源エネルギー庁にも開催内容を提出します。
- 説明会の開催:事業者自身が出席して説明し、質疑の時間を確保します。説明会の全体を録音・録画し、調達期間が終わるまで保管します。
- 質問受付と書面回答:説明会の後、2週間以上にわたって質問を受け付け、書面で回答します。
- 認定申請:説明会は、原則として認定申請日(変更認定の場合は変更認定申請)の3か月前までに開催する必要があります。
範囲内に居住者がいない場合でも、隣接地の所有者などが出席を希望する可能性があるため、原則として説明会の準備が必要です。ただし、所定の条件のもとで出席希望の連絡がなかった場合は、結果として開催を要しないこととされています。
要件を満たさないと認定されません
開催案内の漏れや、説明事項の不足、録音・録画の不備などで要件を満たさない場合は、認定されない、または認定取消しなどの厳格な対応がとられます。また、ガイドラインは2025年4月・2026年4月にも改訂されているため、古い解説記事の情報には注意が必要です。
判定前のチェックリスト
- 対象の設備は地上設置か、屋根設置か
- 敷地境界から100m以内に、自社(または親会社・出資者など密接関係者)の他の発電所はあるか
- それらを合計すると50kW以上になるか(認定申請中の案件も含めて)
- 設置場所が、許認可の対象エリアや土砂災害警戒区域などにあたらないか
- 売却・購入の場合、変更後の事業者で判定するとどうなるか
当事務所のサポート
金惠英(ジン)行政書士事務所では、説明会等の要否の判定から、市町村への事前相談、開催案内、説明資料の作成、議事録・報告書の作成、変更認定申請まで、一貫してサポートしています。低圧設備が近接しているケースや、複数案件の売却・購入を検討されている場合は、スケジュールに余裕のある段階でご相談ください。
【参考】資源エネルギー庁「説明会及び事前周知措置実施ガイドライン」(2024年2月策定、2025年4月・2026年4月改訂)、同「事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)」(2026年4月改訂)。本記事は一般的な制度の解説であり、個別の案件の判定は、所在地の状況や最新の運用により異なる場合があります。


