宮城県美里町で、田んぼの上に太陽光パネルを並べ、稲を育てながら発電する「営農型太陽光発電」が始まりました。
取り組んでいるのは、仙台市の農業法人・舞台ファームと、コメ卸大手の神明ホールディングス。報道によると、国内最大級の規模の設備です。
この記事では、地元・宮城のこの取り組みを紹介しながら、営農型太陽光の仕組みと、導入・名義変更のときに必要な手続きのポイントを行政書士が解説します。

宮城県美里町・舞台ファームの営農型太陽光とは

報道で伝えられている主な内容は、次のとおりです。

  • 場所:宮城県遠田郡美里町
  • 取り組む企業:舞台ファーム(仙台市の農業法人)と神明ホールディングス(コメ卸大手)の共同実証
  • 規模:総面積約3.9ha。国内最大級の営農型太陽光発電設備とされています
  • 作物:水稲。パネルの下の水田で、2026年5月に田植えが始まりました
  • 時期:2026年春に設備が完成
  • 位置づけ:農地でつくった電気を自らの農業に活かす「電力一体型農業モデル」として、全国展開を目指すとされています

パネル下の水田での稲作には、近隣の農事組合法人も栽培契約で参加していると報じられており、地域の農業者と一体になった取り組みであることも特徴です。

田んぼの上で発電するメリット

稲の高温対策

パネルが適度な日陰をつくることで、近年問題になっている夏の高温による稲への影響を和らげる効果が期待されています。

農家の副収入

同じ農地で「お米」と「電気」の両方を生み出すことで、農家が発電による副収入を得られる仕組みづくりが目指されています。

電気代の負担軽減

つくった電気を農業生産に使うことで、電気代の高騰に左右されにくい農業経営につながります。

そもそも営農型太陽光発電とは

営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)は、農地に支柱を立てて、その上に太陽光パネルを設置し、パネルの下で農業を続けながら発電する方法です。農地をつぶして発電所にする「野立て太陽光」とは違い、あくまで農業を続けることが前提になっています。

そのため、通常の太陽光発電とは異なる、農地ならではの手続きやルールがあります。

営農型太陽光に必要な手続き

  1. ① 農地法の一時転用許可

    パネルを支える支柱の部分は、農地を一時的に農地以外に使うことになるため、農地法にもとづく一時転用許可が必要です。許可には期間があり、期間が終わる前に再許可を受ける必要があります。

  2. ② パネル下の営農の継続と報告

    パネルの下で適切に農業を続けていることが許可の条件です。収穫量が地域の平均と比べて大きく落ち込んでいないかなど、毎年の報告が求められます。営農がきちんと行われていないと、設備の撤去を求められることもあります。

  3. ③ FIT/FIPの認定・電力会社との契約

    電気を売る場合は、経済産業省の事業計画認定や電力会社との契約が必要です。自家消費や自己託送で使う場合も、送配電事業者との手続きが必要になります。

※ 一時転用許可の期間や営農の基準は、農林水産省のガイドラインで定められており、改正されることがあります。実際の手続きでは、最新の基準を農業委員会に確認してください。

営農型太陽光の名義変更・売却・相続のときの注意点

営農型太陽光は、発電の名義変更と、農地の手続きの両方が関わるのが特徴です。通常の太陽光発電の名義変更に比べて、確認すべきことが多くなります。

発電所を譲渡・売却したい
FIT/FIP期間中の譲渡では、変更認定申請に加えて、周辺住民への説明会等が必要になる場合があります。あわせて、一時転用許可の内容(誰が営農するか、誰が設備を設置しているか)との整合も確認が必要です。
設置者・営農者が亡くなった
発電設備の相続による名義変更とあわせて、農地の相続や、パネル下で誰が営農を続けるかの整理が必要です。営農が止まると、一時転用許可の条件を満たさなくなるおそれがあります。
一時転用許可の期限が近い
期限を過ぎると、設備をそのまま置いておくことができなくなります。再許可には営農状況の実績が求められるため、早めの準備が大切です。

農地転用が絡む太陽光の名義変更も、当事務所で対応しています。手続きの流れや、追加費用が必要になるケースは、太陽光発電名義変更のページでご案内しています。

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営農型太陽光 よくある質問

Q. どんな農地でも営農型太陽光を設置できますか?

農地の区分や地域によって、許可の可否や許可期間が変わります。まずは農地のある市町村の農業委員会への事前相談が必要です。

Q. 既存の野立て太陽光と何が違いますか?

野立て太陽光は農地以外の土地(または転用を終えた土地)に設置しますが、営農型は農地のまま、下で農業を続けることが前提です。そのため、毎年の営農状況の報告や、一時転用許可の更新が必要になります。

Q. つくった電気を自分の工場や施設で使えますか?

敷地内での自家消費のほか、条件を満たせば送配電網を使って離れた場所の施設に送る「自己託送」という方法もあります。詳しくは自己託送の要件と注意点で解説しています。

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この記事の監修

金惠英(ジン)行政書士事務所 行政書士 布川裕子(登録番号 第24060752号)

仙台を拠点に、太陽光発電設備の名義変更(一般住宅からメガソーラーまで)、発電所の売買・事業譲渡に伴う変更認定申請、相続、韓国戸籍の取得・翻訳証明、VISA申請を取り扱っています。

参考:日本食糧新聞(2026年4月・5月)、各社発表など公開されている報道をもとに作成しています。記事中の事例紹介は報道内容の要約であり、当事務所は記載の企業とは関係ありません。

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