太陽光発電所を売却・合併・会社ごと譲渡して名義変更(変更認定)をするときは、周辺住民への説明会または事前周知措置で、決められた事項を説明する必要があります。
2024年4月の改正再エネ特措法で説明会等が認定の要件になり、その運用を定めた資源エネルギー庁の「説明会及び事前周知措置実施ガイドライン」は2025年4月・2026年4月にも改訂されています。
この記事では、2026年4月改訂のガイドラインに基づき、名義変更のときに何を・誰に・いつまでに説明すればよいのかを、行政書士が整理して解説します。

こんな方は要確認です

  • FIT/FIP期間中の野立て太陽光(10kW以上)を売却・購入する予定がある
  • 発電所を持つ合同会社(SPC)の持分や、株式会社の株式を譲渡する予定がある
  • 合併・会社分割で、発電所の事業者が変わる
  • 過去に説明会をしたことがあるが、今回も必要か分からない

説明会等が必要になる名義変更とは

ガイドラインでは、次のような変更で変更認定を受けるときに、説明会等を実施することとされています(施行規則第8条の2)。

  • 事業譲渡・合併・会社分割等による認定事業者の変更(第1号)
  • 認定事業者の密接関係者の変更(第2号)
    =合同会社の社員、株式会社の議決権の過半数を持つ株主、匿名組合出資の過半数を持つ出資者、およびこれらの親会社
  • 設置場所の変更、認定出力やパネル出力の20%以上または50kW以上の増加(累計を含む)など

説明会等が不要なケース

  • 相続による名義変更(ガイドライン上、事業譲渡等に相続は含まれません)
  • 出力10kW未満の住宅用太陽光
  • 屋根設置区分の太陽光(2023年10月以降に屋根設置の調達価格が適用された設備。設備IDの頭文字が6・8のもの)
  • 2023年10月1日より前に認定を受けた10kW以上50kW未満の屋根設置太陽光で、次の書類を全て提出できるもの
    ・建物表題登記の登記事項証明書
    ・建築基準法に基づく検査済証の写し
    ・使用前自己確認の届出(2023年3月20日より前に運転開始した500kW未満の設備を除く)
    ・太陽電池の全てが屋根に設けられていることを示す写真・図面
  • FIT制度からFIP制度への移行の際の認定

※ 屋根にパネルがあっても、上記の書類がそろわない場合や、2023年10月より前に認定を受けた50kW以上の屋根設置の場合は、説明会等が必要になります。屋根設置太陽光でも、事業の影響と予防措置などについて説明会等を実施するよう努めることとされています。また、自治体が条例で独自に説明会を求めている場合があります。

説明会か、事前周知措置(ポスティング等)か

どちらが必要かは、名義変更後の計画内容を前提に、次のように判定します(ガイドライン第2章第1節2.)。

  1. 説明会の開催が必要

    ・森林法の林地開発許可、盛土規制法の許可などの対象エリア、土砂災害警戒区域、条例の保護エリアに設置するもの
    ・高圧(50kW以上)・特別高圧(2,000kW以上)の電源
    ・低圧(50kW未満)でも、敷地境界から100m以内に同じ事業者等の発電所があり、合計50kW以上になるもの

  2. 説明会か事前周知措置のどちらかを選べる

    ・上記に当たらない低圧の発電所
    ・長期安定適格太陽光発電事業者の適格認定を受けている事業者(またはその密接関係者)が取得する場合(上記の対象エリアにあるものを除く)

※ 「同じ事業者等」には密接関係者も含まれ、認定申請中の事業も含みます。低圧の発電所が近くに複数ある場合は特に注意が必要です。

説明する相手(周辺地域の住民)の範囲

  • 低圧電源:敷地境界から水平距離100m以内に住む人
  • 高圧・特別高圧電源:敷地境界から水平距離300m以内に住む人
  • 環境アセスメント対象(第一種事業):1km以内
  • 発電所の敷地に隣接する土地・建物の所有者
  • 市町村への事前相談で、追加すべきとされた人(近接する他の市町村からの意見を含む)

※ 事前周知措置の場合の対象は、敷地境界から100m以内の居住者です。範囲内に居住者がいない場合も、自治体への確認が必要です。

説明しなければならない事項

説明会では資料を配布し、その資料に基づいて説明します。説明項目は大きく2つに分かれます(ガイドライン第3章第4節)。

  1. A. 再エネ発電事業計画の概要等

    ① 事業計画の概要:事業者、電源種、設置形態、出力、実施場所、災害時の活用可能性(パワコンの自立運転機能・給電用コンセントの有無)
    ② 関係法令の遵守状況:必要な許認可・届出の要否、取得状況、取得スケジュール、法令遵守の実施体制
    ③ 土地の権原の取得状況
    ④ 工事の概要:着工・運転開始の時期を含むスケジュール
    ⑤ 関係者情報:法人の代表者・役員の氏名と概要、主な出資者、保守点検責任者

  2. B. 事業の影響と予防措置

    ① 安全面:斜面への設置、盛土・切土、地盤強度、排水対策、法面保護、設備設計、施工後の管理、事業終了後の措置など
    ② 景観面:条例の保護エリアに当たる場合
    ③ 自然環境・生活環境面:太陽光では、騒音・振動、水の汚れ・濁り、反射光、雑草の繁茂(除草の方法・頻度)など
    ④ 廃棄物の撤去等:廃棄費用の総額・算定方法・積立の開始時期と終了時期・毎月の積立単価、パネルのメーカー名・製造期間・鉛/カドミウム/ヒ素/セレンの含有情報、産業廃棄物・残土の排出見込量、廃棄物処理法等の遵守体制、土地の原状回復義務がある場合はその内容

※ 「主な出資者」とは、合同会社の社員、株式会社の議決権の上位5位までの株主、匿名組合出資の上位5位までの出資者、およびこれらの親会社をいいます。影響が想定されない事項は、その旨を端的かつ具体的に説明します。説明した内容と実際の事業が異なる場合は、虚偽の説明として認定されない・取り消されるなどの厳格な対応が取られます。

名義変更のときに特に求められる説明・ルール

計画変更(名義変更)に伴う説明会等には、新規認定のときにはない独自のルールがあります(ガイドライン第5章第2節)。

過去の説明会の有無で、説明する範囲が変わる
再エネ特措法に基づく説明会等を過去に行っていない場合は、説明項目・説明事項の全てを説明します。2024年4月1日以降に要件を満たす説明会等をすでに行っている場合は、変更があった事項に関する項目を説明します。2024年3月以前に認定を受けた発電所は、多くの場合「全て」の説明が必要になります。
自治体などとの協定の引継ぎも説明する
前の事業者が自治体や住民と協定等を結んでいた場合は、その承継について説明・周知します。引き継ぐ予定であること、引継ぎのスケジュールや手続き、引継ぎに伴って協定の内容を変える場合はその内容などです。
説明会には新旧の事業者が出席する
事業者の変更に伴う説明会には、原則として旧事業者と新事業者の双方が出席します。事前周知措置の場合は、双方の名義で行います(譲渡人の破産など法定の手続きによる事業譲渡は、新事業者のみ)。
録音・録画は新しい事業者へ引き継ぐ
説明会の全景は録音・録画し、調達期間(交付期間)が終わるまで保管します。事業譲渡等で事業者が変わるときは、その記録媒体を新しい事業者へ引き継ぐ必要があります。録音・録画を対外公表することはできません。

説明会が必要かどうかの判定、売却スケジュールの組み立て、配布資料・議事録・質問への書面回答の作成支援、変更認定申請まで、東北6県+新潟県の発電所の売買をサポートしています。

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3か月ルールと手続きの流れ

名義変更に伴う説明会等は、変更認定申請の3か月前までに実施する必要があります。実施のタイミングは、事業者や密接関係者の変更に係る契約書の締結後(対外的に発表される場合はその発表後)です。

  1. 1. 譲渡契約の締結

    説明会等は契約締結後に行うため、契約時点でスケジュールを組み込んでおきます。

  2. 2. 市町村への事前相談

    ガイドラインの様式(付録1)で、配布資料や周辺地域の住民の範囲が分かる地図を添えて相談します。市町村の意見は付録2の様式で示されます。

  3. 3. 開催案内(説明会の2週間前まで)

    ポスティング、戸別訪問、回覧板、自治体の広報誌のいずれかで案内します。あわせて、資源エネルギー庁にも開催の2週間前までに内容を提出します。

  4. 4. 説明会の開催

    事業者自身が出席して説明し、十分な質疑時間を確保します。全景を録音・録画します。

  5. 5. 質問受付(2週間以上)と書面での回答

    説明会後、2週間以上にわたって質問等を受け付け、書面で誠実に回答します。提出先(メール・郵送・URL)は事業者自身のものとします。

  6. 6. 変更認定申請(説明会等から3か月以上あけて)

    説明会に出席する住民がいなかった場合は、「申請3か月前」は「申請」と読み替えられます。

変更認定申請のときに提出する資料

  • 周辺地域の住民の範囲が確認できる地図、市町村への事前相談の書面と市町村の意見の書面
  • 開催案内の配布書面(回覧板・広報誌の掲載書面)と、案内した住民の範囲が分かる書面
  • 説明項目・説明事項の全てを説明したことが確認できる配布資料
  • 説明会の出席者名簿
  • 説明会の議事録(質疑時間は逐語で作成)
  • 質問募集フォームでの質問等と回答(質問がなかった場合はその旨)
  • 説明会概要報告書(付録4の様式。資源エネルギー庁のシステムで公表されます)

※ 提出資料に虚偽が発覚した場合は、認定されない、または認定が取り消されるなどの厳格な対応が取られます。

名義変更の説明会 よくある質問

Q. 会社の名前は変わらないのに、説明会が必要ですか?

合同会社の社員や、議決権の過半数を持つ株主などの密接関係者が変わる場合は、法人名が変わらなくても変更認定と説明会等が必要です。少数株主が変わるだけなど、密接関係者に変更がない場合は対象になりません。

Q. 屋根に載っている太陽光なら、説明会はいりませんか?

屋根設置区分(設備IDの頭文字が6・8)の設備は対象外です。2023年10月1日より前に認定を受けた設備は、10kW以上50kW未満で、建物表題登記の登記事項証明書・検査済証・使用前自己確認の届出・屋根設置を示す写真や図面を全て提出できる場合に限り対象外になります。書類がそろわない場合は説明会等が必要です。

Q. 説明会は委託業者や行政書士に任せられますか?

説明会には事業者自身が出席し、説明する必要があります。専門的な知見を持つ委託事業者等が同席して補足説明をすることは有効とされていますが、説明の責任主体は事業者自身です。当事務所は、準備と進行を補助する立場でサポートします。

Q. 住民が誰も来なかった場合はどうなりますか?

開催の準備をして終了時刻まで待機することが必要です。出席する住民がいなかった場合は、変更認定申請の「3か月前まで」という期間の制限はなくなります。

Q. 事業計画策定ガイドラインでは、譲渡のときに何が求められていますか?

事業者が変わった場合は、地元等と合意した事項や事業開始後の経緯を適切に引き継ぐことが望ましいとされています。また、事業を集約する際は、支持架台の構造図や強度計算書など、事業に関連する必要書類を買い手に適切に引き継ぐことが必要とされています。

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対応エリア

  • 説明会・ポスティング(事前周知)が必要な名義変更:東北6県(青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島)+新潟県
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この記事の監修

金惠英(ジン)行政書士事務所 行政書士 布川裕子(登録番号 第24060752号)

仙台を拠点に、太陽光発電設備の名義変更(一般住宅からメガソーラーまで)、発電所の売買・事業譲渡に伴う変更認定申請、説明会・事前周知措置の準備支援を取り扱っています。

参考:資源エネルギー庁「説明会及び事前周知措置実施ガイドライン」(2024年2月策定、2026年4月改訂)、「事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)」(2026年4月改訂)、「説明会及び事前周知措置実施ガイドライン(案)等に関する意見公募の実施結果」(2024年2月20日)、FIT/FIP代行申請センター「制度改正に伴う追加・変更」。本記事は一般的な解説であり、個別の案件の認定の可否は行政庁の判断によります。

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