「FIT期間が残り少ないから、今のうちに売ってしまおう」――そう考えて、発電所の売却を急いでいませんか?FIT期間の残りが短いからと売却を急ぐと、卒FIT後も続く発電所の価値を十分に評価しないまま手放すことになりかねません。この記事では、売却を決める前に知っておきたいポイントを、行政書士の立場からお伝えします。
FIT期間が終わっても、発電所の価値は残る
出力10kW以上の太陽光発電のFIT期間(調達期間)は20年です。期間が終わると固定価格での買取は終わりますが、発電設備そのものは、適切に保守すれば発電を続けられます。
さらに、脱炭素に取り組む企業を中心に、再生可能エネルギーの電気やその環境価値を求める需要が高まっています。卒FIT後は、売電先や契約の形を自ら選べるようになるため、発電所の使い道はむしろ広がる面もあります。
売却を急ぐときの落とし穴
「残りの期間の売電収入」だけで価格を考えると、卒FIT後の価値が評価に含まれないまま取引されることがあります。売却が最善となるケースもありますが、大切なのはほかの選択肢と比べたうえで決めることです。
売却以外にも選択肢がある
FIT期間の終了を見据えた主な選択肢は、次のとおりです。
- 継続運用:卒FIT後も保有し、小売電気事業者などへ売電する
- 相対契約・PPA:再エネ電気を求める企業に、長期の契約で電気を届ける
- FIPへの移行:一定の条件を満たす設備は、FIT期間中にFIP制度へ移行できる場合がある
- 自己託送:要件を満たす場合に、自社や密接な関係にある会社の事業所へ電気を送る
- 売却:事業譲渡、または発電所を持つ会社ごと譲渡する
それぞれのメリットと注意点を並べた比較表は、「卒FIT後の選択肢と比較のポイント」のページにまとめています。
「組合をつくれば賦課金ゼロ」には注意
自己託送を使えば、小売電気事業者を経由しないため、再エネ賦課金のかからない電気を届けられます。ただし、2024年2月の指針改正で要件が厳しくなりました。
- 他の者が設置した発電設備の譲渡や貸与を受けた者は、自己託送を利用できない
- 組合をつくって行う自己託送は、新たに設置する発電設備に限られ、既存の設備やFIT期間が終わった設備は対象外
「今の発電所でも、組合をつくれば賦課金なしで企業に売れる」といった説明を受けた場合は、契約の前に、根拠となる制度を必ず確認してください。
売却を決める前に確認したい5つのこと
- FIT期間はいつ終わるか
- 借地の場合、土地の契約期間が卒FIT後まで続くか
- パネル・パワーコンディショナーなど、設備の状態はどうか
- 廃棄費用の積立額と、実際の撤去費用の見込みはどうか
- 発電所は自社で設置したものか、完成品を購入したものか(自己託送の可否に関わります)
当事務所のサポート
金惠英(ジン)行政書士事務所では、認定内容や権利関係の整理から、選択肢ごとに必要な手続きのご案内、売却や資本関係の変更に伴う変更認定申請・説明会等の準備まで、一貫してサポートしています。税務は税理士、登記は司法書士と連携して対応します。売却を決める前の段階から、お気軽にご相談ください。
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【参考】資源エネルギー庁「自己託送に係る指針」(2024年2月改正)、同「自己託送に関するQ&A」。本記事は一般的な制度の解説であり、個別の案件の可否は、関係機関への確認が必要です。売却価格の査定や投資判断を行うものではありません。


