「国が決めた価格で売る」時代から
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「つくった電気をどう使い、誰に届けるか」を
自分で考える時代へ
こんにちは。
金惠英(ジン)行政書士事務所です。
2012年に始まったFIT(固定価格買取制度)のもとで、太陽光発電は「つくった電気を国が決めた価格で、20年間売る」というわかりやすい事業でした。
その前提が、2027年度から大きく変わります。10kW以上の地上設置太陽光は、FIT/FIPの新規認定の対象外になります。
これから地上に太陽光を建てるなら、「売る」ではなく「使う」「届ける」を前提に計画する時代です。その変化と、これからの選択肢を整理しました。
1. 何が変わる?
地上設置(10kW以上)は2027年度からFIT/FIPの新規認定の対象外
資源エネルギー庁の公表:「事業用太陽光(地上設置(10kW以上))区分は、2026年度の落札案件を除き、2027年度以降、FIT/FIP制度の新規認定対象とならない。」
(2026年3月に省令・告示で決定済み)
| 区分 | 2026年度 | 2027年度〜 |
|---|---|---|
| 地上設置 10kW以上50kW未満(低圧) | 9.9円/kWh | 新規認定なし |
| 地上設置 50kW以上 | 9.6円/kWh | 新規認定なし |
| 地上設置 250kW以上(入札) | 入札(上限9.6円/kWh) | 新規認定なし 2026年度の落札案件は除く |
| 屋根設置 10kW以上 | 19円(1〜5年目)/8.3円(6〜20年目) | 支援を継続 |
| 住宅用 10kW未満 | 24円(1〜4年目)/8.3円(5〜10年目) | 支援を継続 |
対象になるのは「地上設置の新規」だけ
・メガソーラーだけでなく、50kW未満の低圧の野立ても対象です
・屋根設置・住宅用は支援が続きます
・すでに認定を受けた発電所は、残りの期間も支援が続きます(FIPへの移行も可能)
・国・自治体の土地、温対法の促進区域、ソーラーカーポート、インフラ空間は、支援を続ける案が2026年9月の審議会で示され、検討中です
なぜ終わるの? パネルの価格が下がり、国の支援がなくても成り立つ状況に近づいたことが一つ。もう一つは、山林の開発などによる地域とのトラブルや環境への影響が問題になってきたことです。
2. 「売る」から「使う・届ける」へ
これまで(FIT)
- つくった電気は全部売る
- 価格は国が決める
- 買い手は送配電事業者などが自動的に
- 考えるのは「どこに、どれだけ建てるか」
これから
- つくった電気をまず自分で使う
- 価格は市場や契約で決まる
- 届け先は自分で決めて契約する
- 考えるのは「誰が、いつ、どれだけ使うか」
これからの太陽光は、次の3つの問いに答えることから始まります。
自家消費
自己託送・PPA
FIP・蓄電池
3. Q1「どう使う?」 自家消費
工場・倉庫・店舗などの屋根や敷地に太陽光を置き、その場で使うのが自家消費です。電気を買う量が減るので、電気代の高騰に強くなります。
- 昼間に電気をたくさん使う事業所ほど効果が大きい
- 蓄電池を組み合わせれば、夕方以降や停電時にも使える
- 自分で設備を持たず、事業者が設置するオンサイトPPAという方法もある
- 国・県の補助金の対象になりやすい
4. Q2「誰に届ける?」 自己託送・PPA
使う場所と、太陽光を置ける場所が離れているとき。その電気をどうやって届けるかが、これからの地上設置太陽光のカギになります。
◆ 自己託送:自社の発電所から、自社の事業所へ
(例:郊外の野立て)
一般送配電事業者の送配電網
(例:本社工場・店舗)
メリット
- 屋根が狭くても、離れた土地でつくった電気を自社で使える
- 電気代の高騰に左右されにくい
- 自社の電気を再エネに切り替えられる(脱炭素の取り組みとしてアピールできる)
- 小売供給ではないため、再エネ賦課金がかからない
注意点
- 届け先は自社か、「密接な関係」がある相手に限られます。国の指針で要件が細かく定められており、他人に電気を売るための「抜け道」としては使えません
- 送配電網を使うので託送料金がかかります
- 発電と需要の計画を30分ごとに提出し、計画とずれた分(インバランス)の責任を負います。管理する体制や代行業者が必要です
- FITの期間中の電気は自己託送に使えません。卒FIT後の発電所や、FIT/FIPを使わない新しい発電所が対象です
◆ オフサイトPPA:電気を使いたい企業と長期契約
発電所の電気を、小売電気事業者を通じて特定の企業に長期間供給する契約です。自社以外に届けられ、価格も長期で安定しやすいのが特長です。再エネの電気を求める企業が増えるなか、選択肢として広がっています。
5. Q3「いつ売る?」 FIP・市場での売電
- FIP:市場価格にプレミアムが上乗せされる制度です。すでに認定を受けた発電所は、FITからFIPに移行できます。蓄電池と組み合わせて高く売れる時間帯に売る工夫ができます。
- 非FITの売電:小売電気事業者と契約して売電します。価格は市場や契約しだいです。
どの方法でも、「いつ発電し、いつ使い、いつ売るか」を考えることが収益を左右します。
6. 今ある発電所も無関係ではありません
FIT制度スタート
住宅用(10年)の「卒FIT」が始まる
地上設置の新規FIT/FIP認定が終了
事業用(20年)の「卒FIT」が始まる
2012年度にFITの認定を受けた事業用の発電所は、2032年から順に20年の買取期間を終えます。そのあとは、どの発電所も「どう使い、誰に届けるか」を考えることになります。今のうちに準備を始めておきましょう。
7. 今から準備しておきたいこと
- 自分の発電所の「FIT終了日」を確認:認定の内容と、調達期間がいつ終わるか
- 名義と登録内容を整理:名義が古いまま、設備が登録内容と違うままでは、どの選択肢にも進めません
- 電気の使い道を考える:自社でどれだけ使うか、近くに使ってくれる相手はいるか
- 自家消費・自己託送・PPA・FIPを比べる:収入、手間、リスク
- 新しく設置するなら:屋根設置を優先して検討し、地上設置はFIT/FIPを使えない前提で計画する
8. ご相談ください
金惠英(ジン)行政書士事務所では、太陽光発電所の名義変更、変更認定申請・変更届出、FIPへの移行など、再エネ特措法の手続きと、事業所の自家消費型太陽光の補助金申請をお手伝いしています。
「FITのあと、うちの発電所はどうする?」「これから太陽光を建てるなら何から考える?」という段階から、手続きの面で選択肢を整理します。
金惠英(ジン)行政書士事務所
〒980-0821 宮城県仙台市青葉区春日町8-5-302
Mail:info@fms-world.com
出典:資源エネルギー庁「買取価格・期間等」、調達価格等算定委員会「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」(2026年2月)、総合資源エネルギー調査会 再生可能エネルギー主力電源化小委員会(2026年9月30日)事務局資料
※例外となる類型の詳細は検討中です。最新の情報は資源エネルギー庁の公表資料でご確認ください。

